木村圭吾は、男性的で大らかな画風で知られる日本画家である。生命の不思議をたたえた桜や、絶壁の岩盤がみせる非常の美しさを描く画家としてその名を知られている。
「思えば京都東山に育ち、近くの水晶がとれる山でクワガタやカブト虫取りに熱中した少年時代から私の宇宙観は芽生えていたのかもしれない。捕まえたい虫のそばには必ずムカデなどの怖いものもいる。でも生命は皆、お互いにつながっている。ムカデがいなくなるような環境では不思議にクワガタやカブト虫も姿を消してしまうのだ。」
この自然観が木村圭吾のその後の創作活動の原点となる。
幼い頃から動物や松、岩などの自然を描き、いつしか桜の妖艶さや樹齢1000余年もの古木に毎年花を咲かせるエネルギーの中にひとつの生命観を知った。
舞い散っていく光と花びらの中に生命のたくましさをとらえていくこと、これが彼のライフワークとなっている。日本全国を巡り、名木・古木を描く、その作品は多くの人々の心をとらえ、「圭吾桜」と呼ばれている。