1948年(昭和23)、秋田県仙南村(現 美郷町)生まれの洋画家。
リアリズムが追求された作風で、繊細に大切に描かれた透明感のある可憐な少女たちの姿は、自らの愛娘への愛情を込めた慈愛に満ちた作品を多く描いてる。画家を目指し、岩手大学特設美術科に入学しその後、1976年に第12回シェル美術賞展で佳作賞を取り、翌年には昭和展で優秀賞をとるなど数々の素晴らしい賞を受賞している。繊細さを追求し続けたこのスタイルを崩さず、多くの名作を作り出して行った藤井勉は「秋風」で安井賞展佳作賞を受賞している。交友関係も広く、小泉智秀や上村淳之、森田りえこ、小松崎邦雄などと二人展も開催している。彼の作品は、数多くの少女が描かれているが、そのひとつである「願い」は、ターコイズブルーの衣装を身に纏う幼さが残る少女の横顔の作品である。グレーに彩られた背景とそのブルーの対照的な色彩使いが鮮やかながら、その独特のタッチによって幻想的な雰囲気にまとめられている。髪の毛の1本1本の曲線的な部分まで詳細に表現され、衿もとのフリルも上品さと清楚さを描き出し、非常に上品という表現の作品になっている。
また、人物だけでなく「仔(猫)」を描いた作品もある。少しぼやけたような色彩で雰囲気どられたキャンパスの中心に、心を許したのんびりした猫が描かれている。繊細で写実的ながら、とても柔らかい雰囲気に描かれた猫でこちらも優しい気持ちにさせてくれるような、慈愛に満ちた温和な作品となっている。
彼はその他にも、華やデッサンなども数多く手掛け、シャープでシンプルな力強く華やかな作品となっている。
歳を重ねるにつれ、日本人が忘れてはいけない日常を後生に伝えようと、山などに移り住み、自然豊かな環境の中で制作活動を行っている。