宮廻正明は、1951年(昭和26年)1月24日に島根県松江市で生まれた日本画家である。
東京藝術大学美術学部デザイン科を経て同大学大学院美術研究科保存修復技術日本画へ進み、古画の模写や修復などを学ぶうちに裏側からも彩色されている古い仏画の技術に興味を惹かれ、自らの作品に取り入れるようになる。その中で非常に柔らかく裏からの彩色に適した薄美濃紙と出会ったことにより、「裏から7割、表から2割描き、残りの一割は自然が育ててくれる」と本人が語る「裏彩色」という独自技法を確立する。
1983年(昭和58年)に「山桃彩り」で院展初入選を果たすと、「天写田」と「絲遊変奏」で大観賞を受賞し1995年(平成7年)に同人推挙、「平均律」で文部大臣賞、「無伴奏」で内閣総理大臣賞を受賞。古典技法を軸とした精緻な技法と、現代的な構成力で描きだす柔らかで詩情感豊かな表現を併せ持つ作品達は観る者を魅了する。その活躍の場は絵画のみに留まらず、オペラなどの舞台美術・芸術監督も手掛けている。
現在、東京藝術大学大学院美術研究科教授として後進の指導にもあたり、また古墳壁画の質感まで再現できるレプリカ作成の技術を開発、特許を取得するなど文化財の保護・修復にも力を入れている。