後藤純男は日本画家であり、1930年(昭和5年)1月21日に千葉県東葛郡木間ヶ瀬村(現・野田市)で生まれた。父は真言宗豊山派無量寿院の住職であり、跡を継ぐべく13歳から僧侶の修行を始めるが、元来絵を描く事が好きだった為日本画家の山本丘人や田中青坪に師事し絵を学び始める。22歳で院展初入賞を果たすと、仏道を捨て画家として生きる決心をする。
仏門の出である故に由緒ある寺院が多い大和路を荘厳な宗教観で以て描き、後藤の代名詞とも言えるほど多くの作品を生み出した。また、30歳で訪れた北海道の厳しくも雄大な自然風景、49歳で現代日本絵画展代表団の一員として訪れた中国各地の長閑な田園風景や悠久の歴史とそこに息づく人々の暮らしを感じさせる街並みにも心惹かれ、大和路・北海道・中国は生涯に渡って追い続けている3大モチーフである。わざわざ極寒期の北海道を訪れ、余白を抽象表現で埋めることで自然の荒々しさを表現したかと思えば、見る事はできなくとも確かにそこにあると思わせる神仏の存在感まで浮かび上がらせる寺院、長閑で時が止まったかのような中国の風景など、その作風は幅広くかつ全ての存在・事象への多大なる畏敬の念を余すところなく表現している。
1986年(昭和61年)に内閣総理大臣賞を受賞、アトリエを構えている北海道空知郡上富良野町にて1997年(平成9年)9月に後藤純男美術館が開館。2006年(平成18年)には旭日小綬章を受章している。