絹谷幸二は、1943年(昭和18年)1月24日生まれの洋画家である。奈良県奈良市出身。
幼少から油絵に親しみ、東京芸術大学大学院修了後イタリアへ留学する。ベネツィアにてアフレスコ画(一般的に「フレスコ画」と呼ばれているもの)と出会う。現地では主に教会などの壁画を修復する技術であったその技法を用いて新しい作品を生み出そうとした。
こうしてアフレスコ画を極め、ベネツィアで描いた「アンセルモ氏の肖像」で「画壇の芥川賞」とも言われる安井賞を31歳という当時最年少の若さで受賞。日本洋画壇で一躍注目されるようになった。
色とりどりの原色を用いた鮮烈な色使いと大胆な構図で、人物などの抽象画を数多く制作する一方、奈良県という日本の歴史において重要な位置を占める地域に自らのルーツを持つため、仏教や仏像に強い興味と関心を抱いており、アフレスコ画法を用いて仏像や富士山など日本画的なモチーフにも精力的に取り組んでいる。また、長野冬季オリンピック公式ポスターも手掛けた。
日本におけるアフレスコ画の開拓者として活躍しながら、東京芸術大学の教授に就任(現在は名誉教授)、アフレスコ絵画技法教室の開催、35歳以下の若手芸術家を対象とした絹谷幸二賞を創設(毎日新聞社主催)するなど、後進の指導・育成にも熱心に取り組んでおり、正に現代日本画壇の牽引役と言える。