上村淳之(うえむらあつし)は日本画家であり、同じく日本画家・上村松篁の長男として1933年(昭和8年)4月12日京都市中京区間之町竹屋上ルに生まれる。本名は淳(あつし)。祖母・上村松園も日本画家である。
京都市立美術大学(現・京都市立芸術大)にて絵画を学ぶが、画家となる事に両親は反対であったため入学と同時に祖母・松園が晩年を過ごした後空き家となっていた奈良市平城の唳禽荘(れいきんそう)に移り住む。そこで花を育て鳥を飼育する中で、理想の花鳥図を描こうと諸外国を旅し多くの作品に触れたが、改めて日本画の花鳥図の美しさを再発見し生涯に渡り一貫して花鳥図を描き続けた。父・松篁も得意としたモチーフであるが、こと鳥に関しては飼育数が後に約1500羽にもなるほど愛情が深く、花鳥図でも特に鳥を描く事で有名であり、その生気溢れる画風は並ぶ者がいないと言える。2010年(平成22年)には大阪新歌舞伎座の緞帳原画「四季花鳥図」を手がけている。
1994年には上村家三代(松園・松篁・淳之)の作品を収蔵・展示する松伯美術館が奈良県奈良市に開館し、館長を務める。また、京都市立芸術大学副学長を経て、京都市立学校歴史博物館館長、社団法人創画会理事長に就任。現代日本画界の第一人者であるとともに、京都市立芸術大学での長年に渡る後進の指導にも表れているように熱心な教育者としての功績も築いている。
2002年(平成14年)には日本芸術院賞会員となり、親子三代続いての芸術院賞会員入りを果たす。